text:筒の魔女の憂鬱
「可愛らしいお子さんですね! お幾つくらいなんですか?」
「10か11か……大体その辺だったかな」
「そうなんですか! 貴方も見たところかなりお若く見えますけど、失礼でなければ……」
「アンタさあ、そんなこと訊いて何になるんだよ? 他に話すこと無いの?……まあいいや。27だよ」
「ええ!? 全然そうは見えませんよー! てっきりハタチ、いや16や17くらいかと!」
「そりゃどうも」
「あの子のあの耳は……ウサギ、ですか? 【混り】持ちなんて今時珍しい」
「ああ、アタシも最初は驚いたよ。何せアタシは全然混じってないから」
「他にご家族は?」
「いない。アタシら二人だけだよ」
「だとしたら何かと大変でしょう、女手一つでお子さんを育てるのは」
「別になんてことないさ。アタシもアリスも弱くはないからね」
「母は強しと言ったところですね。……おっとそろそろ時間だ……それじゃあ、私はこの辺で」
「ああ、とっとと消えな」

……あの野郎、もし次どこかで会ったらはっ倒してやる。
アタシらは姉妹だっつーの、クソッタレ。




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